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地域材を使うということ

地場の自然素材の必要性と理解を深め
自然調和のある住まいを

ササキ設計では、地域材をつかった家づくりが基本です。地域の木を使うことで、山へ人の手がはいり、健全な状態に保つ助けとなります。また、合板や集成材ではなく、無垢材のまま使うことで、木の良さを最大限に活かすことができます。無垢材を扱うには、高い技術が必要なので、熟練した職人に仕事を依頼することになります。そうすることで、地域の建築文化が守られ、地域経済もうるおいます。これらは全て一体なことなのです。

1999年に仲間たちと立ち上げた「杜の家づくりネットワーク」では、毎年、春と秋に森林見学会をしています。普通では知ることのできない、山の状態を目の当たりにし、山から木を伐りだし、住宅用の木材として製材加工される過程を知ることができます。地道な活動ですが、20年間続けてきたことで、山への関心が途絶えずに続いているのではないかと思います。

湿潤な気候を好むスギは日本固有の樹木で育ちも早く、千年以上の植林の歴史があります。三陸沿岸は山林が多く、裏山のスギで家を建てるのが普通だったのです。スギ林は1ヘクタール当たり約3000本の苗木を植え、成長に合わせて育ちの悪い木や間隔を空けるための間伐を繰り返し、40年、50年あるいは80年と育てた太い材を建築材にします。間伐材も養殖漁業のいかだ、稲干しのくい、建築現場の足場にと利用されて無駄にはしませんでした。

大黒柱となる木を、家族で決めてみませんか

しかし、戦後、新建材などが流通し始めた頃からシックハウスなどの住まいに関する病気が増えてきました。工場で工業製品として生産・加工された新建材の多くは、組み立てに熟練技術を要せず、建築コストが下がることも多かったため、多用されるようになりました。しかし、製造過程で使われた接着剤などの化学物質が、時に健康被害をもたらすこともあったのです。森林見学会では、人の手が入らず「泣いている山」と、人の手が入り自然の調和が取れた山や自然の状況を見比べることができます。

予算やスケジュールなどの条件が整えば、実際に家づくりに使う木を山で選び、お客様と共に伐採をして、大黒柱などに使うこともあります。葉枯らし乾燥に2〜3ヶ月、製材する過程で低温乾燥を2〜3ヶ月と、時間は余計にかかります。地元の木を、市場や卸業者などを通さずに直接入手するからといって、途中の工程や、全工事費のことを考えると、必ずしも安くなるとも限りません。けれども、自分たちが住む家の大黒柱を、家族で伐採して建てる経験は、なによりも大きな家族の思い出となるでしょう。