30年以上勤めた会社を早期退職し田舎に移住する事を決意した頃、友人の家を設計した佐々木文彦氏を紹介された。
仙台空港近くの農家で、新設道路の為取り壊されることになった納屋を見せて貰ったところ、荒削りの太い梁と長い年月を思わせる木肌が気に入り移築を決めた。
山間の村に移住するので、今流行の家ではなく周りの環境に溶け込み、ずっと前からそこにあったような家をと考えていたが、氏には思いを正面から受け止めて頂いた。
立派な古民家ではなく納屋の雰囲気が、新築なのに前々から住んでいたような錯覚を起こさせる。
そこには町場とは違うゆったりとした時間が流れ、訪れた者に何か懐かしささえ感じさせる。
当店で食事をされたお客様がお帰りの際、蔵造りの落ち着いた雰囲気をお褒め頂くのを聞くにつけ、あの時に決断して良かったと思う今日この頃です。
もともと新店舗建築の構想を練ってはいたのですが、なかなかこれといったチャンスも無く漠然としていました。
そんな時、ササキ設計社長の佐々木文彦氏と出会い、山形県庄内で米蔵として役割を終えた土蔵を解体するという情報を耳にして移築再生を即決したのです。
建物が完成し実際に営業してみると、空調面では夏涼しく冬は暖かいのです。寒さの厳しい東北では非常にありがたい事です。
また、蔵は無駄とも言える空間が多いので、客席を作る折に個室の数が少なくなってしまいましたが、これはその中にいると緊張感が取れ、何とも言えない心地よさに包み込まれます。その空間こそがお客様の安らぎになっているのだと思いました。
シックハウスの心配がない、自然素材で温かく心地よい木の家を作って欲しいと強く希望していました。
打合せを綿密に丁寧に行って頂いたため、細部まで天然木の良さが出ている、希望通りの住宅を作って頂きました。
木組みの骨組他、木とケイソウシツイがふんだんに使用されているので、梅雨時期でもカラッとしていて心地よく、深呼吸すると天然木の香りに癒されています。
おかげ様で子宝を授かり、来年にはこのシックハウスのない体に優しい環境で可愛いわが子と安心して暮らせる事を楽しみにしております。